いしずえ

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安岡正篤(著) 『日本精神通義』より

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政治の根本は人事行政にあり、特に賢者の任用が大事

政治の根本は人事行政にある。東洋では政治の、あるいは人事行政の根本原理の一つとして任用ということがあるのであります。一般に任用ということは深くは考えずに使っておりますが、これは非常に意義ある言葉でありまして、『税苑(ぜいえん)』というような書物を見ますと、国家に三つの不祥(ふしょう)がある。それは第一、賢者あって知らざることである。賢者が隠れているということは換言すれば、指導者がないということでありますから、必ず国民生活が乱脈になる。

すべての進歩、一人一階級の進歩ではいけない。すべてを通じて、いい換えれば野に遺賢(いけん)(民間にいる有能な人物)なからしめないように人材を挙げて、その指導の下に、国家全般の進歩を図るのが政治であります。

しかして、知って用いざるはニの不詳、用いて任(まか)せざること、これ三の不祥なのであります。任用とは賢者を知って用いるということと、用いて任すということを併せていうのです。