いしずえ

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安岡正篤(著) 『禅と陽明学』上巻より

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仏(佛)は、人間(吾)を超越した存在ではない

どうも道とか真理とかいうものは、俗人が取り扱うと得てして間違いやすいもので、武芸のできない者が刃物を振り回すのと同じことで、自らも傷つく。

佛(ほとけ)というものは決して人間を超越した存在ではないということです。

佛というものは決して人間、自己というものを超越した存在ではない。

現実を離れた存在ではない。

またそういう存在を要請して、それをいろいろに理論づける、そういう理論、知識というものが佛であるのではない。

佛というものは、自身、吾というもの、心というもの、衆生というものを離れては決して存在しない。

もし佛を求むれば、まず吾、心、現実、衆生というものに徹しなければならない。

これを離れて決して佛というものはない。

しかしながら、吾、心、衆生というものが、そのままに佛であるのでは、もちろんない。

吾、心、衆生というものは、そのままにその中に佛を持っている。

吾は、心は、衆生は即ち如来であり佛である。

心は尊い如来像である。

衆生の中に如来は存在している。

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