マホメットは五七一年メッカの名家に生れ、幼にして両親をうしない、貧困の生活を送り屡々隊商に従ってシリア地方を往復し、その間にユダヤ教、キリスト教の一端を知り、当時の悲惨な下層民の生活に同情してこれを救済しようと考え、四十歳の時ヒラ山上において神の啓示に接し、大悟してから脱教するに至った。
彼は神の前では一切の人民が平等であるとして特権階級の存在を認めなかったので、メッカの支配階級は悉く彼の説に反対した。
身辺の危険を感じた彼は六二二年七月メッカを脱出し、信者二十四名と共にメジナ市に逃走した。
メジナ市民は彼を予言者として歓迎し、忠誠を誓った。
信者も大いに増加した。
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