いしずえ

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同人 便り

終戦記念日を迎えて思うこと。
山﨑堯右
 
 高知での空襲、終戦前後の満州、引揚げ、戦後の苦しい生活と少年時代に残虐の極みの中に放り込まれた貴重な体験、これは非常時の異常体験と言うことではなくて、むしろ、人類史からいえば、これが常態ではないか、むしろその後の平穏な70年の方が異常ではないのかとさえ昨今思うようになってきました。
 37億年余の生物進化の過程に比べここ1世紀近い近代文明の期間は瞬間的な短時間であって、本来の弱肉強食としての動物の延長線上のなにものでもないこと、この100年の人類中心主義の平和志向という習性はまだまだ体内の遺伝子構造には組み込まれていないのではなかろうかとさえ思えます。己が生まれるにあたっても、19999万余の精子が犠牲になっている現実、種の保存に命題があり、全個の命の保全は本来進化の過程では天与ではないことに大きな重大な命題があるのではないでしょうか。
 あの少年のころのすさまじい体験はむしろ生き物としての極限条件を体験・自覚でき、その後の人生のまたとない貴重な土台となりました。どんな最新の利便性のある近代生活の中にどっぷりつかっていても、最近の世界情勢や犯罪の多い世情を俯瞰しますと、将来もいつ動乱の中に放り込まれるか、けっして、これからも安住の世代に落ち着くのではなく、長い進化の過程の食うか食われるかのまだまだ動物の延長線上の習性から脱出しえる状態ではないのではないかと昨今あらためて考える次第です。つまり現在の人類という生き物の生態学的な見方からすれば、世界平和は指標であっても、まだまだ無理な命題で、それどころではない世界情勢ではないだろうか。もし戦争や犯罪がなくなり、平均年齢が増加して人口増加を抑制できないままなら、地球は将来長きにわたって人類を抱え込みうるほどの容量が足りうるだろうか。すべての生物と共生バランスがくずれ、人類という生物のみが突出して多くなれば、異常気象も地球温暖化もエネルギー不足も、悪質疫病の流行もすべてこれらに対する人類への警鐘に思えて仕方がない。添付図3枚(3億年前の円状パンゲア大陸の周辺海岸線と現在の世界の地震帯と古代からの世界の遺跡分布地帯はほぼ一致していて、人類は天変地異を克服して文明を築いてきた。)と37億年以来の生物進化の長い歴史から比較すると、現文明の成立期間が如何に短い瞬間の年月しかないかが明らかである。しかし人類は困難という命題を与えられるたびに、それに向って挑戦し、克服して今日を勝ち得てきた。上記命題を克服するべく遺伝子に埋め込む実践行動による努力こそ、これからの人類の道があるように思う。体験こそ無駄にしてはならない。