いしずえ

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永遠の道 第一巻春雪の巻

 
 転勤早々、戸松はこの惨状におどろいたのであるが、今眼の前に生存欲のガキとなって、竹矢来をやぶって必死にうごめいている民衆をみつめていると、蓮の池から地獄の底を見下している仏陀のように、彼らに生きるための一すじの蜘蛛の糸をなげあたえてやりたいような、哀切の念がわきあがってくるのであった。