いしずえ

『陽明学勉強会』 参加希望の方は kuninoishizuehonbu@yahoo.co.jp まで!!

翁は、微塵の技巧もない人

 立雲翁を訪うて以来、一度もこちらから生国、職業を云うまで「君はどこの生れか」「君は何をして居るか」などと普通の人が挨拶参りに問ひさうな事を嘗て問われた事がない。無駄な事を云わぬ点、立雲翁は実に徹底して居られる。「今日は結構な天気で」とか「お暑うございます」「お寒いことですネ」などと、世人の常套語たる分かり切った挨拶の言葉を頭山翁は當て使用された事はあるまい。

 (緒方 竹虎)「私の撃剣の先生は小南易知と云って、山岡鉄舟翁の一、二の高弟であった。小南先生に向ふと初めから息が上って、まるで子供扱ひにされるやうに見えた。先生は常に打ちに来る所を打っているやうであった。相手はわざわざ打たれに行くやうであった。私は頭山翁に接する度にこれと同様の感じを禁じ得ない。翁のあの底知れぬやうな深みに出会ふと対者は、腹の中の何物をも吐き出さずには居られなくなるやうに見える。翁は大自然の如く、頭から爪先まで微塵の技巧もない、然るに対者は何とかして翁の前に自己を表現せんとして独り労している。そこには無理がある。」

 平成22年7月1日  〝いしずえ〟頭山満翁の人物像より

にほんブログ村 政治ブログ 保守へ
にほんブログ村